新居昭乃

 新居昭乃さんはアニメやCMの曲などを歌っているシンガーソングライターです。なんで、アニメのサントラなどを担当している方のCDレビューしてるかというと、事の顛末は長くなるんで別にページ作りました(笑)

 誤解のないように付け加えておくと、声優が歌ってる物ではなく、れっきとしたプロのアーティストです。ただ、アニメの挿入歌や主題歌に曲を頻繁に提供しているだけですので。
 彼女の公式サイトやほかのファンサイトなどをみたところ、87年デビューと結構キャリアはあるし、既に知らないうちに聴いていそう。

そらの庭

97年発表の2nd

 新居昭乃さんの2ndです。ファンタジックな曲にのる新居さんの声はナチュラルかつピュアなもので、聴いていると心が洗われます。
 作詞作曲は例の如く新居さんご自身によるものです。編曲はご自身を含めた複数の方が担当されていて、寺嶋民哉、菅 野よう子、保刈久明、新居さんとなっています。
 曲調はファンタジックな物や可愛らしい物が多く、新居さんのキャラを反映していると思います。また、日本的な旋律をシンフォニックにアレンジしている点も注目したいです。そういえばアバンギャルドなロックばかり聴いていたので気付きませんでしたが、ワールドミュージックやシンフォプログレ、ヒーリングの要素もあって、アレンジは結構実験的かもしれません。
  演奏の方は打ち込みが主体ながらも、暖かみのあるサウンドになっていて、生のストリングスやウットベース、ギターなどと調和がとれています。
 とりあえず、使い捨てのヒットチャート物J-POP聴くより有意義だと思います。

降るプラチナ

2000年発表の3rd

 このアルバムの詳しい解説と行きます。収録曲数は11曲、基本的に作詞作曲とも彼女が手がけていて、一曲あるフランス語の曲での作詞が外人の手によるもので、作曲のほうでは二曲が共同となっています。編曲は彼女自身を含めた3人で担当しています。使用楽器は生楽器と打ち込みを併用していて、生ストリングス等も使用しています。アルバムタイトル曲ではチェンバロなんてレアな楽器を新居さんが演奏してたりもする。
 演奏のほうは、とにかく彼女のヴォーカルが素晴らしい。トラッド・フォーク系のクリーンでスムースな歌唱法が特徴だ。巷では、ウィスパーヴォイス、フローティングヴォイスというらしい。米国志向な女性ヴォーカリストが跋扈する中、英国や欧州の影響を感じさせるヴォーカルは新鮮であるし、彼の地のプログレやHR/HMを愛好するTETSUにとってはむしろ歓迎すべきことです。で、そのヴォーカルで最も魅力なのが圧倒的な感情表現力で、切れて感情に流されてしまうところを見せ付けたと思うと、押さえ気味に歌うとこなど、力の入れ加減や抜き加減が絶妙です。で、時折見せるアンニュイな感じに頭の中が溶けそうになります。繊細さ、情念度はアニー・ハズラムなどより上だと思いますが?どうでしょう。それでいて、力みすぎで無いところも非常に素敵です。耽美的音楽が好きな人なら絶対気に入るはずです。
 バッキングは打ち込みが一部の曲でテクノっぽい感じを出してはいるものの、大部分の曲では生楽器のサウンドと強調的で気にはなりません。で、アコギやストリングス、キーボード類がシンフォニック色を出していて、シンフォ・プログレポップ的な趣も出しています。ともすると、癒し系とも言われかねない優しい音ですが、ヘッドホンでじっくり聴くと、アレンジもなかなか練られていて、奥が深いです。
 歌詞は文学少女チックでシュール且つ、リアルです。美大を出られているという彼女ならではの聴き手にイメージを喚起させる歌詞世界だと思います。もちろん、その歌詞だけではなく彼女の声や曲が組み合わさることでその絵画的な音楽が生まれているんですけどね。
 具体的な聴き所は1、2、3、10曲目でしょう。1曲目の「スプークトニク」は、生きては戻れないであろうロケットに乗せられる犬をモチーフに縮めようの無い距離を歌った曲です。2曲目の「願い事」は打ち込みのリズムがテクノっぽいけどアンニュイな感じのヴォーカルと思わずドキッとする歌詞が反則ぎりぎりでいいです(笑)3曲目の「ガレキの楽園」はアコギとストリングスの美しい調べと決意を感じさせるヴォーカルが凛々しいです。アルバムタイトル曲で10曲目の「降るプラチナ」は意味深な歌詞を切なく歌い上げるヴォーカルがこらえようのない悲しみに満ちていて、その美しさに思わず手で触れようとすると冷たさに火傷を負ってしまいそうな感じがします。この曲、非常に好きです。

 知名度的にはマイナーな方ではありますが、質は保証します。というより、今まで知らなかった自分が情けないですねぇ(-_-;)

鉱石ラジオ

2001年発表の4th

 このアルバム収録の「きれいな感情」で新居昭乃さんのことを知りました。入手したのは前作「降るプラチナ」が先になったけれど、やっぱり、いいですね。

 鉱石ラジオというタイトルですが、彼女がパーソナリティーを勤めているラジオ番組「Viridian House」の経験から来ているらしい。残念ながら、打ち込みのデジタル度が前作より激しくなっていて、ノイズ、テクノ、アンビエント風味が増しているのだけど、まあ、気持ちよい系の音にはなってるからいいのかな?でも、全編にわたってというわけでもないです。5分の曲が2つあったとすると、その間に入る1〜2分の小曲が打ち込みがきつい曲という感じになっているので、どうしても駄目ならスキップすることも考えられるます。ただ、鉱石ラジオって言うタイトルとデジタルな雰囲気がマッチしているので、出来れば通しで聴きたいところ。
 また、前作の内省的で鬱な感じとはうって変わって、外に開いた感じの曲調になっているので、そういう点では非常に聴きやすいです。まあ、歌詞の内容からして「降るプラチナ」はキテましたから。それが昭乃さん御自身の体験から来たものだったのか知る由もないですが、その迫真のヴォーカルが涙を誘っていたのは事実。そんな辛い時には、ネガティブな癒しもいいけど、「鉱石ラジオ」のようなほのかな暖かさを感じさせる楽曲もまた違う癒しになって良いです。
 で、聴き所はやっぱり2曲目のタイトルトラック「鉱石ラジオ」と、5曲目の「きれいな感情」でしょう。極上のポップソングです。「鉱石ラジオ」はチェンバロのクラシカルな旋律とピアノ、オルガンの柔らかい音色にのる、昭乃さんの繊細でクリアなヴォーカルが非常に美しいです。また、サビのヴォーカルパートが一度聴いたら耳にはなれない系の印象的なもの。「きれいな感情」はアレンジが非常にすばらしく、アコギ、ドラム、ハモンドオルガン、オルガン、ヴァイオリン、チェロ、ハープシコード、オートハープ(激レアだ)などを使っててアレンジはかなり濃厚。でも、フレンチポップス風味の曲とヴォーカルが濃厚なアレンジに思わせないところがミソです。
 とりあえず、邦楽アルバムにしては¥2500と手頃な価格ですので「鉱石ラジオ」と「きれいな感情」目当てで買いましょう(笑)

 

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