渡辺香津美

Byond The Infinite

2001年発表

 いつものように駅前のCD屋をふらふら見て歩いていて、ふと日本人ジャズコーナーのところに立ち止まり、何気なく渡辺香津美さんのコーナーを見ていました。この方、この間NHK教育かなんかでアコギの教室やっていましたねぇと…この方の作品自体は知らないけれど、ギタリストとしては結構有名ですねと…やっぱり、アコギがうまい人なのですかねぇ?と…
 で、数点あったアルバムを手に取って見ていると、その中の一枚の帯に「21世紀に贈るエスノ・プログレ・ギター組曲」というキャッチが書いてあるではありませんか!エスノ(ロック)ってのはよくは知らないので、ブラックミュージック系でトーキング・ヘッズなどが有名ということぐらいしか分かりません。それよりも「プログレ・ギター組曲」の部分が気になりました。アコギの名手のプログレギター組曲とは、どんなんでしょうか?と…
 そんなこんなで買ってしまいましたよ渡辺香津美さんの「Beyond The Infinite」を。しかし邦楽のCDは高いですね。\3000ですもの。洋楽なら\1800〜\2500ぐらいですものねぇ(-_-;)クラッシックならもっと安いけど…とにかく、これでいつもなら新譜1枚と中古1枚ぐらい買えたCD予算が尽きました…

 聴いてみると確かにプログレです。エスノがどうのは分からなかったです。が、ラテンな雰囲気はありますし、フリージャズっぽい雰囲気もあります。大筋としては、ラテン系ジャズロックのサウンドですからフュージョンとも言えますが、プログレと言える複雑さも持っています。ストリングスがシンフォニックですし、プログレと呼べる要素は随所にあります。あと、非常に上品なサウンドだと思いました。ジャズについては初心者なのでよい例えが浮かびませんが、チック・コリア率いるリターン・トゥー・フォーエヴァー(RTF)の初期の繊細さと中期の複雑さを兼ね備えたサウンドと言えると思います。
 編成は渡辺香津美(Electric&Acoustic Guiter)、本多俊之(Sax)、中川昌三(Fluet)、吉野弘志(Acoustic Bass)、ヤヒロトモヒロ(Percussions)、山木秀夫(Drums)、松原勝也(Violin)、鈴木理恵子(Violin)、柳瀬省太(Viola)、菊地知也(Cello)、NORA(Vocal)となっています。ボーカリストはいるものの基本的にインストで、全9トラック中歌ありは2トラックです。あと、トラック1〜7と8〜9で二つの組曲となっています。収録時間は56分です。もうちょっと短く40分ぐらいに出来ないかなとは思いましたが、そんなにはダレないと思います。

 詳細な内容を語りますと、プログレギター組曲という割には全編ギター全開な内容ではないです。アコギもエレキギターも非常に達者なんですが、各楽器の出番がきっちりとられていてアンサンブルもきっちり取れています。個人的には好きなタイプですが、帯に釣られてギターオリエンテッドな作風を期待してると肩透かしを食うと思います。また、せっかくアコースティックベース使ってるんですから、もうちょっと目立たせてもいいかも?まあ、ベースが目立ったサウンドが好きな人はそんなに多くないとは思いますが…
 組曲の一つ目は月・火星・水星・木星・金星・土星・太陽という太陽系の惑星(衛星)の名前が付けられていて、なかなかドラマティックな内容だと思います。特にMARS/火星などはアコギがかっこいいです。キングクリムゾンでもMARS/火星はかっこよかったですからね(意味なし)。
 組曲の二つ目はネコビタンX・赤玉とネコビタンX・青玉です。ふざけた名前なのでファニーな曲調かと思いきや、チェロのイントロからギターのアルペジオ、ヴィオラとヴァイオリンが入るというなかなかクールでクラシカルな曲調。

 総評としては、\3000出して買う価値のあるアルバムだと思います。その上で難点を挙げると、プログレ云々というキャッチには頷けるものの、ジャズやクラッシックの色が濃くロック色は薄いので、ジャズやクラッシックに強い方でないと聴き通せないかも知れません。しかし、情熱的なアコギ好きには問答無用で聴かせられる作品であると思います。

2002/3/9

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送