Area

 エジプト生まれのギリシャ人Demetrio Stratosの個性的でカリスマ性の高いボーカルが、一部のプログレマニアの間で熱狂的に支持されているバンド、それがイタリアのアレアです。
 アレアの特徴はまずディメトリオ・ストラトスのボーカルにあります。音楽学校で声帯をどこまで拡げられるかと試行錯誤していたという彼のパフォーマンスは、普通に歌うだけのボーカルではないんです。ブルガリアンボイス(ヨーデルとかモンゴルの伝統唱法に似ている)に始まり、水は飲むし、リンゴはかじるし、嘔吐の真似はするし、人間 SEといい
ますか強烈の一言につきます。また、単なる色物に終わらず、普通に歌ってる部分では高音域まで声が太くてハリがあって素晴らしい歌唱力です。技術面に限ればプログレシーンの最高峰に位置すると思います。もちろんカリスマ性でも最高峰ですがね。
 第二の特徴は高度なインストパートと風変わりな楽曲です。あまりに強烈なボーカルに目を向けがちですが、アラビア的な要素さえも垣間見れるアバンギャルトジャズロックを演奏するに相応しい技術を各メンバーが持っています。最高の変拍子バンドという評価もうなずけます。

 ディメトリオ・ストラトスの破天荒なキャラクターと、とんでもなく陽気でおかしいのに実際は複雑の極地である楽曲を難無くこなすインストパートが魅力のバンドです。

2001/12/7

maledetti(maudits)/呪われた人々

1977年4th

 呪われた人々=西洋音楽に根差した価値観に捕らわれている人々への皮肉だそうです。

 人体の解剖図が使われている変な(というより気色悪い)ジャケットに劣らず内容も変です。いわゆる問題作という評判で1曲めからシェーバーの音やら足音?口笛と意味不明なSEが満載です。続いて滅茶苦茶かっこいいジャズロックが繰り広げられ、このままかと聴いていますと5曲目がいきなりクラッシック室内楽であっけに取られます。そして7曲目では延々とディメトリオが悶えています(笑)嘔吐の真似に犬の呼吸、カエルの鳴き声etcと意味不明です。インストパートもまともに演奏していないです。聴くのが非常につらいです(笑)でも、その前の6曲目が異常にかっこよかったりするんですね。インストもボーカルもドライブ感に溢れていてジャズロックファンなら聴いて損はない完成度だと思います。

 1年半ほど前に買った本作の輸入盤CDが私のアレア初体験になります。そして、初心者向けではないと問題作と言われる本作ですがはまってしまいました。確かに7曲目などは苦しいですが、名作「1978」などよりはじけている分だけエネルギッシュだと思います。

2001/12/7

1978 gli dei se ne vanno,gli arrabbiati restano!/1978

1978年5th

 1stや3rdも名盤と言われているアレアですが本作も名盤と言われています。また、カリスマボーカリストのディメトリオ・ストラトスが本作発表後に白血病で若くして他界した事も本作の印象を強くする一因です。

 内容について書きます。ディメトリオ・ストラトスのブルガリアンボイスや変なパフォーマンスは健在です。ジャズロックに地中海(アラビア)サウンドをミックスした楽曲もこれまで通りですし、高い演奏技術とそれを要求する楽曲も健在です。ただし、ポップで明るい雰囲気が強いせいか、肩の力が抜けた感じもあります。これならリスナーもアレアの奇抜な楽曲を笑って楽しめる筈だと思います。
 思えば、前作「呪われた人々」も暗くてシリアスなサウンドなのではなくて明るいサウンドだと思います。ただ「呪われた人々」はより奇抜だったので聴きにくいのだと思います。そういう意味ではアレアも本作で分別を身に付けたと言いますか、インターナショナルポピュラーグループとしてバランスが取れてきていたんだと思います。
 もちろんアバンギャルドジャズロックとしてのアイデンティティを保った上でバランスが取れてきていたんだと思います。そこで訪れてしまったディメトリオ・ストラトそこで訪れてしまったディメトリオ・ストラトスの死は残念でたまらないですよね。

 総評としては、ポップになったとはいえ、70年代イタリアを代表するアバンギャルドジャズロックバンドの作品故に依然と人を選ぶと思います。しかし、一度は不世出のボーカリスト、ディメトリオ・ストラトスの強烈な個性に触れて貰いたいと思います。やっぱり、誰にも似ていない、誰も真似できないということは素晴らしいですよ。

2001/12/7

 

 

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