Il Balletto Di Bronzo

YS/YS(イプシロン・エッセ)

1972年発表の2nd

 イル・バレッド・ディ・ブロンゾはイタリアのバンドで70年72年に2枚のアルバムを発表している。だが、1stはいわゆるプログレの範疇の音楽ではなく、ハードロック系の作品と認知されていて、バンドも1st発表後に活動を停止している。
 そんな状態にあったバンドの旧メンバーにコンタクトを取ってきたのがオザンナの前身バンドに在籍していたキーボーディストのJianni Leone(vo、key)だった。そうして再編成されることになったバンドには旧メンバーからLimo Ajello(g)、Jianchi Stringa(dr)が参加し、Vito Manzari(b)が新たに加わることになった。この4人編成で出したのが、プログレバンドとしてのイル・バレッド・ディ・ブロンの傑作「YS」だ。

 手元にある再発CDの帯には「狂気のロックバンド」「伝統美と破壊美」という文句が踊っているし、ライナーの解説には当時ELP+クリムゾンという評価が巷であったと書かれている。確かにテクニカルで斬新なキーボードプレイは鬼才キース・エマーソンと比較するのも分からなくもなく、クラッシックとジャズ、現代音楽の要素をちりばめた破壊的な楽曲からはクリムゾンを連想するのもうなづけよう。とはいえ、このYSには湿っぽいブリティッシュな空気はまったく流れておらず、どちらかというと乾いていて明朗な雰囲気ですらある。まあ、クリムゾンが引き合いに出されるくらいであるからクリムゾン同様にキレている感じはするのだけど、クリムゾンがネクラであるとするのなら、こちらはネアカということになるのだろう。

 YSは全五曲(再発時追加のボーナストラックは除く)が収録されていて、ストーリー(コンセプト)アルバムとなっている。ストーリーについてはライナーにも詳しい解説は載っていなかったのだが、歌詞の対訳を見る限り深いかな?
 で、アルバムの聴き所はずばり1曲目の「Intoroduzione」でイントロダクションに当たる曲なのだが15分の大曲で一番濃い曲となっている。イエス、ジェネシス、キャラヴァンといった大抵のバンドは、大曲を作るときに必ず落ち着いたパートを設けて展開に緩急をつくり、比較的分かりやすい起承転結の構成をとるのだが、彼らの場合、展開こそ目まぐるしく変わっているものの常にテンションが張り詰めていてアグレッシブなのは恐ろしい。クリムゾン辺りでも落ち着いたパートはあるのにねぇ。
 また、ジャンニ・レオーネの多数の鍵盤楽器の使い分けはキーボードマニアには堪らないところだろう(笑)クレジットにはピアノ、メロトロン、オルガン、ムーグ、チェレステ(チェレスタ)などが使用楽器としてあり、音の使い分けや重ね方は数あるシンフォ系プログレの中で白眉の出来だと思う。しかも、このYSはシンフォ系とは言っても軟派な代物ではなく、クリムゾンに匹敵するようなヘヴィーな音楽性なのだから面白い。

 

 

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