New Trolls

ConcertoGrossoPerI/コンチェルトグロッソPerI

1971年発表の3rd

newtrolsconcerto1.jpg (47533 バイト) 1976年に結成されたニュートロルスは1971年発表の3rdでシンフォニックロックの理想形を作り上げ、伝説を残した。
 このコンチェルトグロッソというアルバムは映画音楽家ルイス・エンリケ・バカロフとの共作で作られた映画のサントラ盤である。

 オーケストラとロックバンドの競演というとHRにもプログレにも数多くの例があり、特に珍しいものではない。だが、競演の為に既存の曲をアレンジしただけであったり、オーケストラを使っておきながら色を添える程度の場合が多い。コンチェルトグロッソもオーケストラとロックバンドの競演であるが、ヴァイオリンソロの導入やドラムレスの部分があるなど、オーケストラをバックに従えるのではなく、真の意味での競演を実現しているのが素晴らしい。特にヴァイオリンの美旋律とマイナー調の泣きのギターが絡む様はこのアルバムの売りのひとつだろう。

 収録各曲の紹介
1:大胆なストリングスに随所に絡むドラムとギターがこの後に展開されるドラマを連想させる小曲。歌なし
2:ヴァイオリンソロのイントロにギターが重なっていき強烈な泣きを主張するのはこのアルバムの最もわかりやすい特徴だろう。続いて、ピアノをバックに哀愁のこもったヴォーカルが入る。後はアコギ、ストリングス、ギターと何度も入れ替わりながら盛り上がってく様は圧巻。
3:イントロのヴィオラソロに続いてチェロ(ヴァイオリンかも?)が重なり、アコギやベース、オーケストラなどが順次重なっていく展開は2曲目同様に美しい。さらに、泣きのギターが絡んでくるのは確信犯だな。
4:ジミヘンに捧げられた曲で、この曲はバンド色が強く、もろジミヘンな音色のギターが面白い。だが、ヴォーカルはジミヘンぽくない声色(笑)
5:旧アナログB面に当たるこの曲はバカロフとの共作のサントラ用の曲ではない。20分間ジャムってます。スタジオ録音でライブではないのだけど、生々しい感じで擬似ライブ的。大音量で聴くと非常に気持ちがよいのだが、聴き手側にそれ相応の集中力がないと20分間はきついだろう。

UT

1972年発表の5th

newtrolsut.jpg (19433 バイト) イタリア国旗と同じ緑、白、赤のトリコロールカラーを使ったデザインのジャケットと同様に、ラテンの情緒を凝縮した音楽性が素晴らしいアルバム。

 一般的にコンチェルトグロッソ、本作UT,アトミックシステムの3作品がニュー・トロルスの名盤といわれている。
 コンチェルトはオーケストラとの競演作でシンフォ色が強く、アルバムの個性は強いが、バンドの個性は抑えられがちになっている。
 UTはシンフォ、トラッド、ジャズ、ロックと曲調は多彩だが、アルバム全体の統一感は取れていて、美旋律度こそコンチェルトに劣るが、感情表現の激しさではUTのほうが上だろう。
 アトミックは変則リズムと曲展開の複雑さが売りのプログレ度の高いアルバムで、サウンドもコンチェルトやUTに比べエッジがきいていてヘヴィーなものとなっている。
 そんなんだから、人に勧めるときにどれを選ぶか迷ってしまう。個人的にはUT、アトミック、コンチェルトの順に好きなんだけどね。

 UTの内容は旧アナログA面が5曲、B面が3曲の計8曲(ボーナストラック除く)となっている。A面は組曲形式となっているが、コンチェルトグロッソ風のシンフォな1曲目と対照的にジャジーでアグレッシブな2曲目のつながり以外はそれほど組曲を意識させることはなく普通に聴ける。だが、特段流れを意識させることはなくても、流れを妨げられずに聴けるあたりはやはり組曲ならではなんだろうかね?
 A面ラストの5曲目はクラシカルな序盤からジミヘンちっくなギターが縦横無尽に駆け抜ける終盤への展開が素晴らしい。
 7曲目はアコギのリズムギターと乾いた音色の泣きのギターの絡みが美しいバラード。後半ではスピーカーの左右のチャンネルを切り替えて、エレキギターで男女の会話を再現するという変なことをしている。このギターでの会話は妙にリアルで笑える。でも曲そのものは非常に素晴らしい。
 ラストの8曲目はギターレスでピアノとシンセをバックにヴォーカルが切なく歌い上げるバラード。洋楽を聴き始めて間もないころに泣きといえばギターだけではなく、泣きのキーボードもあるのだということを教えてくれた名曲です。また、ヴォーカルが強烈で、声質や歌唱テクもずば抜けてるわけではないけれども泣きまくってるとこが涙を誘う。でこの曲が好きなのでUTがコンチェルトやアトミックより好きになっているっす。

ATOMIC SYSTEM/アトミックシステム

1973年発表の6th

 ニュー・トロルスはUT発表後に分裂し、離脱したメンバーがIBISを結成し2つのバンドとなっている。アトミックシステムは、その分裂時のニュー・トロルスが発表したアルバムであり、コンチェルトやUTには無かったハードで変則リズムやプログレ的な構成に凝った大作が目立つアルバムである。
 コンチェルトとUTはシンフォ色の強弱などの違いはあるものの、共に情念的で泣きを堪能できる名盤となっている。が、アトミックに限っては演奏の激しさや複雑な曲構成を堪能すべきアルバムとなっている。というわけで、コンチェルトとUT、アトミックを並べると、アトミックだけが浮いていて、コンチェルトやUTを気に入ってもアトミックは気に入らない場合はあるだろうし、その逆も然り。とはいえ、コンチェルトで見せたバロック音楽の要素やUTで見せたイタリアらしい大らかで明朗なポップセンスをしっかりと継承した上で新しい側面を見せているので、実は路線変更なのではなく進化したというべきなのかも知れない。
Concerto Grosso N.2

1976発表の8th

newtrolsconcerto2.jpg (78902 バイト) UT発表後に分裂したニュートロルスだが、IBISの3人が戻り、完全にオリジナルのメンツではないが、それに近い編成で作られたのがコンチェルトグロッソN.2だ。

 コンチェルトグロッソPerIと同じく映画音楽家のバカロフとの共作となるが、PerIと違って映画音楽用のサントラとして作られたものではない。また、PerIでは5曲中4曲がバカロフとの共作のコンチェルトだったのだが、N.2では8曲中3曲が共作のコンチェルトであるに過ぎない。加えて、バンドサウンドとオーケストラサウンドが対等に自己主張していたPerIと違ってN.2ではオーケストラは添え物程度の扱いしかされていない。だが、シンフォ系プログレが好きな方なら、PerIのみならずN.2も気に入るとは思う。その他の収録曲も歌曲が多く、UTをもっとポップに洗練した感じのものが多い。

 

 

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