ConcertoGrossoPerI/コンチェルトグロッソPerI
1971年発表の3rd |
1976年に結成されたニュートロルスは1971年発表の3rdでシンフォニックロックの理想形を作り上げ、伝説を残した。 このコンチェルトグロッソというアルバムは映画音楽家ルイス・エンリケ・バカロフとの共作で作られた映画のサントラ盤である。 オーケストラとロックバンドの競演というとHRにもプログレにも数多くの例があり、特に珍しいものではない。だが、競演の為に既存の曲をアレンジしただけであったり、オーケストラを使っておきながら色を添える程度の場合が多い。コンチェルトグロッソもオーケストラとロックバンドの競演であるが、ヴァイオリンソロの導入やドラムレスの部分があるなど、オーケストラをバックに従えるのではなく、真の意味での競演を実現しているのが素晴らしい。特にヴァイオリンの美旋律とマイナー調の泣きのギターが絡む様はこのアルバムの売りのひとつだろう。 収録各曲の紹介 |
UT
1972年発表の5th |
イタリア国旗と同じ緑、白、赤のトリコロールカラーを使ったデザインのジャケットと同様に、ラテンの情緒を凝縮した音楽性が素晴らしいアルバム。
一般的にコンチェルトグロッソ、本作UT,アトミックシステムの3作品がニュー・トロルスの名盤といわれている。 UTの内容は旧アナログA面が5曲、B面が3曲の計8曲(ボーナストラック除く)となっている。A面は組曲形式となっているが、コンチェルトグロッソ風のシンフォな1曲目と対照的にジャジーでアグレッシブな2曲目のつながり以外はそれほど組曲を意識させることはなく普通に聴ける。だが、特段流れを意識させることはなくても、流れを妨げられずに聴けるあたりはやはり組曲ならではなんだろうかね? |
ATOMIC SYSTEM/アトミックシステム
1973年発表の6th |
ニュー・トロルスはUT発表後に分裂し、離脱したメンバーがIBISを結成し2つのバンドとなっている。アトミックシステムは、その分裂時のニュー・トロルスが発表したアルバムであり、コンチェルトやUTには無かったハードで変則リズムやプログレ的な構成に凝った大作が目立つアルバムである。 コンチェルトとUTはシンフォ色の強弱などの違いはあるものの、共に情念的で泣きを堪能できる名盤となっている。が、アトミックに限っては演奏の激しさや複雑な曲構成を堪能すべきアルバムとなっている。というわけで、コンチェルトとUT、アトミックを並べると、アトミックだけが浮いていて、コンチェルトやUTを気に入ってもアトミックは気に入らない場合はあるだろうし、その逆も然り。とはいえ、コンチェルトで見せたバロック音楽の要素やUTで見せたイタリアらしい大らかで明朗なポップセンスをしっかりと継承した上で新しい側面を見せているので、実は路線変更なのではなく進化したというべきなのかも知れない。 |
Concerto Grosso N.2
1976発表の8th |
UT発表後に分裂したニュートロルスだが、IBISの3人が戻り、完全にオリジナルのメンツではないが、それに近い編成で作られたのがコンチェルトグロッソN.2だ。
コンチェルトグロッソPerIと同じく映画音楽家のバカロフとの共作となるが、PerIと違って映画音楽用のサントラとして作られたものではない。また、PerIでは5曲中4曲がバカロフとの共作のコンチェルトだったのだが、N.2では8曲中3曲が共作のコンチェルトであるに過ぎない。加えて、バンドサウンドとオーケストラサウンドが対等に自己主張していたPerIと違ってN.2ではオーケストラは添え物程度の扱いしかされていない。だが、シンフォ系プログレが好きな方なら、PerIのみならずN.2も気に入るとは思う。その他の収録曲も歌曲が多く、UTをもっとポップに洗練した感じのものが多い。 |